2015年1月24日土曜日

DARK QUEEN

作者   : D・W・W 様
掲載サイト: D・W・Wの館
作品ページ: DARK QUEEN

[あらすじ]
 山奥の研究施設の中で、寒村生まれの少女クラナの体は内側から造り替えられていた。実験により寄生させられた古代生物の働きによるものである。
 そのクラナには危機が迫っていた。彼女と同じく生体兵器を造るための実験材料にされていた被験者が異形化し暴走したため、クラナを含めた被験者全員が殺戮され処分されることになったのだ。
 被験者たちは次々に殺害され、クラナも致命傷を受ける。
 しかしクラナと体を共有している寄生生物は諦めてはいなかった。宿主と融合することでクラナを蘇生しようとしたのだ。
 その試みは成功する。寄生生物の自我を犠牲にして。

 研究施設の人間は全てクラナに殺された。
 施設の人間を皆殺しにした理由は追っ手がかかるのを防ぐためであり、寄生生物により造り替えられた肉体とともに、一度人間に殺され変化したクラナの精神はそれを可能としていたのだ。
 研究施設を後にしたクラナは能動的な行動を始め、決断する。人外と化した自身の生存のために、迫害されない場所、最も安全な居場所、すなわち玉座を手に入れることを。
 それは人類を支配することを意味していた。

[感想等]
 戦乱の世で主人公が武勲をあげて成り上がっていく小説です。
 主人公のクラナの性格が特徴的で、部下を含めた人間を道具としか思っていません。
 しかし道具である人間の扱い方は上手いのです。
 ある者は恩を売って味方に引き込み、またある者は恐怖によって支配する。飴と鞭です。
 成り上がっていくにつれ、領地の税率を下げたり汚職官吏を一掃したりと、飴と鞭の規模も大きくなっていきます。
 人間を道具としか見ていない主人公が、そうやって民衆の望む社会を作り上げていくという構図が面白いです。